こんにちは、きこです🌷
精神科で看護師をしながら、医療職の働き方について書いています。
「私が直接やられているわけじゃないのに、胃が痛い、、、」
「いじめを見ているだけなのに、なぜこんなに消耗するんだろう」
「繊細な自分を、どう守ればいい?」
📌 この記事は、こんな方へ
・職場のいじめを『見ているだけ』で消耗してしまう方
・HSP・繊細気質で、職場の空気を吸いすぎる方
・見ているしかない場面で、自分を守る方法を知りたい方
📋 この記事でわかること
- 「見ているだけ」でも消耗する科学的な理由
- HSP・共感性の高い人が特に影響を受けやすいメカニズム
- 職場の嫌な空気から自分を守る3つの対処法
- 「合わない職場」と判断するためのチェックポイント
自分がいじめられているわけじゃない。でも、見ているだけで胃が痛くなる——そう感じながら、私はしばらくその感覚を「自分が繊細すぎるせいだ」と思っていました。
正直に言うと、その頃の私は毎朝出勤するたびに、職場の空気を確認するようになっていました。今日は誰と誰の関係が悪いか、誰が誰を避けているか。それが無意識の習慣になっていたのです。
なぜ「見ているだけ」でも消耗するのか
人間の脳にはミラーニューロンという神経細胞があります。他者の行動や感情を「まるで自分のこと」のように処理する機能です。
たとえば、誰かが痛そうにしているのを見て自分も痛みを感じたり、怒鳴り声を聞いて自分が委縮したりするのは、このミラーニューロンが働いているからです。
つまり、職場でいじめや高圧的な場面を目撃したとき、脳は「直接経験」と「目撃」を完全には区別しません。見ることでも、同種のストレス反応が起きます。これはHSPに限らず、共感性の高い人であれば誰にでも起こることです。甘えではなく、神経系が正直に反応しているだけなのです。
【体験談】「意地悪な人が意地悪な世界を作って支配している」と気づいた日
精神科訪問看護ステーションで働いていたとき、目の前でこんなことが起きていました。
他の部署から異動してきた事務主任が、既存の事務員と職場の長の両方からじわじわといじめられていました。どちらが先に始めたのかはわかりません。職場の長が気に入らなかったから、それに合わせて事務員がいじめ始めたのかもしれません。
ある日、その事務主任が体調不良を訴えて職場の長に「休みたい」と申し出ました。長の返答は「精神的なストレス?」という確認でした。
自分が手を動かしていじめておきながら、「精神的なストレスか」と聞いていた。
それを目撃したとき、はっきりと感じたことがありました。「意地悪な人が意地悪な世界を作って支配している、そういう場所にいたくない」と。
自分がやられているわけではありません。でも、胃が痛かったです。気力が削られていました。無意識のうちに防衛本能が働いていたのだと、後から気づきました。目立たないようにする。関わらないようにする。余計なことを言わないようにする——それが自分を守るための、気づかないうちの行動になっていました。
HSP気質のある私にとって、その「空気そのもの」がストレス源でした。
HSP・共感性の高い人が職場環境に敏感な理由
HSP(Highly Sensitive Person:感覚処理感受性が高い人)は、環境からの刺激を深く処理する特性を持ちます。職場の空気、声のトーン、視線、人間関係のギスギス——これらすべてが、HSPにとっては通常より大きなエネルギー消費になります。
「仕事の内容はそこまできつくないのに、なんとなく疲れる」という感覚は、職場環境そのものがストレス源になっているサインかもしれません。
これは弱さではなく気質です。そして気質は、合う環境と合わない環境があります。
「見ているだけで辛い」時の3つの対処法
💡 ① 自分の感覚を「正当なもの」として認める
最初のステップは、「自分がおかしい」という思い込みを手放すことです。見ているだけで辛いという感覚は、弱さの証拠ではなく、共感性が高いことの証拠です。「これはおかしい」と感じる自分の感覚を信じること。それが次の行動につながります。私自身、この感覚を認めるまでにずいぶん時間がかかりました。
💡 ② 「場の空気」から意識的に距離を置く
物理的な距離が難しい場合でも、意識の向け方を変えることはできます。
- 嫌な場面を目撃したとき、深呼吸して「これは自分のことではない」と意識的に切り離す
- 休憩中はできるだけ別の空間に移動する
- 帰宅後に「職場の空気」を引きずらないための切り替えルーティンを作る(入浴、散歩など)
💡 ③ 「職場環境の問題」として記録しておく
日付・出来事・自分が感じたことを簡単にメモしておきます。「これは自分の問題ではなく、職場環境の問題だ」という認識を強化することと、転職・相談の際に「どんな環境が自分に合わないか」を言語化するための材料になります。
「この職場は自分に合わない」と判断するチェックポイント
以下の項目に3つ以上当てはまる場合、職場環境そのものが消耗の原因になっている可能性が高いです。
⚠️ 合わない職場のサイン(3つ以上で要注意)
- 休日も職場のことが頭から離れない
- 出勤前に気持ちが重くなる
- 「仕事の内容」より「職場の空気」に疲れている
- 自分が直接関係ない場面でも、職場の人間関係に胃が痛くなる
- 無意識に「目立たないように」「関わらないように」と動いている
合う・合わないは、能力の問題ではなく、気質と環境の相性の問題です。「自分が弱いから合わない」ではなく、「この環境が自分の気質に合っていない」という視点で考えてほしいと思います。
それでも「すぐに動けない」なら
職場を変えることがすぐにできない状況もあります。そういうときに私が意識したのは、「この場所で何を得るか」を自分で決めることでした。精神科という新しい専門領域で学べることに意識を向ける。嫌な空気に飲み込まれないために、自分のアンテナを立てる方向を決めておく。
完全に遮断することはできません。でも、「この場所にいる理由」を自分で持っておくことが、消耗の深さを変えると感じました。
まとめ
- 「見ているだけ」でも消耗するのは、脳のミラーニューロンによる正常な反応だ
- HSP・共感性の高い人は職場環境の影響をより強く受ける。これは弱さではなく気質だ
- 意地悪な人が作る「場の空気」は、直接被害を受けていなくても神経系を消耗させる
- 無意識の防衛本能(目立たないようにする)が働き始めたら、環境を見直すサインだ
- 消耗が続くなら、「この場所で何を得るか」を自分で決めるか、環境を変える選択肢を持つ
【免責事項】本記事は筆者の臨床経験と当事者視点に基づく一般的な情報提供であり、特定の診断・治療・雇用関係の法的助言を行うものではありません。心身の不調が続く場合は医療機関、職場の問題は労働相談窓口など専門機関にご相談ください。
📚 参考・引用文献
- Aron, E.N. (1996). “The Highly Sensitive Person.” Broadway Books. (HSP概念の提唱書)
- 厚生労働省「職場のハラスメント対策マニュアル」(https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/)
- 厚生労働省「こころの健康—職場でのメンタルヘルス対策」(https://www.mhlw.go.jp/kokoro/workplace/)
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