こんにちは、ナギです🐢
作業療法士として18年、いまは訪問のリハビリと、自費リハビリの副業をしながら、医療職の働き方について書いています。
「これからは自由に、好きなことだけやって生きていく、、、」
「と思った3ヶ月後、身体が動かなくなった」
「傷病手当金がないって、どういうことだったんだろう」
📌 この記事は、こんな方へ
・独立や副業を考えている方
・個人事業主の『身体が動かない時』のリスクを知りたい方
・自由と引き換えに失うものを、先に見ておきたい方
📋 この記事でわかること
- フリーランス・自営業が直面する「社会保障の空白地帯」
- 身体を壊したときに傷病手当金が出ない理由と対策
- 独立前に整えるべきセーフティネット3つ
- 「続ける or 撤退」の判断基準の考え方
「これで好きなことだけやって生きていける」——そう信じて、私は副業を本業に切り替える形で独立を決めました。
OT(作業療法士)として18年働きながら、少しずつ準備を重ねて、数年前にようやく副業をメインに据えてOTはパート勤務に切り替えました。自分のペースで患者さんと一対一で向き合えて、「ありがとう」が直接返ってくる。それが私の理想の働き方でした。正直、あのときは「ようやく自分の場所を作れた」と思っていました。
そこに腰椎ヘルニアが来たのです。
くしゃみをするだけで激痛が走る日が続き、施術どころか歩くことも難しい時期がありました。その瞬間、初めて気づいたのです——私には傷病手当金がない、ということに。
この記事では、その経験から学んだことを時系列で書いていきます。夢を諦めてほしいということではありません。知った上で進んでほしいのです。
フリーランス・自営業が直面する「社会保障の空白地帯」
会社員には当たり前にある社会保障が、自営業・フリーランスにはない、あるいは大幅に弱くなります。代表的なものが以下の3つです。
| 制度 | 会社員 | 自営業・フリーランス |
|---|---|---|
| 傷病手当金 | 最大18ヶ月・給与の2/3支給 | なし |
| 雇用保険(失業給付) | あり | なし |
| 労災保険 | あり(一部特別加入あり) | 原則なし |
特に見落とされやすいのが傷病手当金です。病気や怪我で働けなくなったとき、会社員なら給与の約2/3が最大1年6ヶ月支払われます。でも自営業・フリーランスにはこの制度が適用されません。
動けなくなった瞬間、収入はゼロになる。頭ではわかっていたつもりでしたが、いざそうなってみると、恐怖の重さが全然違いました。
身体を壊したとき、自営業者に傷病手当金は出ない
「身体に関わる仕事をしているのにヘルニアになるのか」と思う方もいるかもしれません。でも、現場で身体を使う仕事だからこそ、腰への負荷は大きいのです。前傾姿勢、長時間の立ち仕事、先天的な要因——兆候はあったのに「このくらいなら大丈夫」と放置し続けた結果でした。
ひどい時はくしゃみをするだけで激痛が走りました。施術どころか、普通に歩くことも難しい時期がありました。
そのとき初めて、ことの深刻さを実感しました。私には傷病手当金がない。社会保険に加入していることが前提の制度であり、国民健康保険の自営業者には適用されないのです。
子どもは3人いました。下の子はまだ小さく、これからお金がかかる時期に差し掛かっていました。副業の事業ができなくなった時点で、収入の柱が一本折れました。正直、怖かったです。次の収入がいつ入るのかが見えない恐怖は、会社員時代には経験したことがないものでした。「あのとき、なぜもっと早く調べなかったのだろう」という後悔が、痛みよりも長く続いたと思います。
独立前に整えるべきセーフティネット3つ
この経験から、独立・副業を始める前に必ず整えておくべきことをまとめました。
💡 ① 収入が止まっても6ヶ月耐えられる生活防衛資金
目安は生活費の6ヶ月分です。会社員でいう失業給付の代わりになる自己保険です。これがあるかないかで、撤退・継続の判断を冷静にできるかどうかが変わります。私はこれが不十分だったから、動けない状態でもじわじわと焦り続けました。「あとどれくらい持つか」を計算しながら横になっている夜は、本当につらいものがありました。
💡 ② 所得補償保険(就業不能保険)への加入
傷病手当金の代わりになる民間保険です。病気・怪我で働けなくなったとき、月々の収入の一部を補填してくれます。フリーランス・自営業者にとっては必須に近いものだと、今は断言できます。保険料は月5,000〜15,000円程度から加入できます。私はヘルニアになってから知りました。順番が逆でした。
💡 ③ 「もし働けなくなったら」の選択肢を事前に考えておく
元の職場に戻れるか。別の職場で社会保険に加入できるか。副業として続けられるか。この3点を事前に整理しておくだけで、いざというときの判断が早くなります。「撤退 = 失敗」ではありません。状況に応じて動き続けることが、長く続けるための戦略だと、経験してようやく腑に落ちました。
「好きなことで生きていく」を長く続けるための判断基準
SNSでは「独立して自由に働く」という成功事例があふれています。その魅力は本物です。実際に経験したから分かります。
だけど、発信されるのは成功した話であり、身体を壊したり、収入が途絶えたりした話はほとんど出てきません。私がヘルニアで動けなくなったときも、そういう情報を探してようやく見つけるような状況でした。
以下の問いに答えられるなら、独立・副業を進める準備は整っています。
⚠️ 独立前の自己チェック
- 6ヶ月間収入ゼロでも生活できる蓄えがあるか?
- 身体・精神的に動けなくなった場合の収入補填手段があるか?
- 撤退・縮小の判断基準を事前に決めているか?
- 家族や大切な人への影響を十分に考えているか?
「好きなことで生きていく」という目標は正しいと、今でも思っています。ただ、セーフティネットを持った上で進む方が、長く、そして安全に続けられる。それだけを伝えたいのです。
腰痛持ちの人へ:寝具の見直しが最初の一歩
私の場合、布団から高反発マットレスに変えて2ヶ月で朝の腰痛が変わりました。腰痛を抱えながら仕事を続けている方には、まず寝具の見直しをお勧めしたいです。
まとめ
- 自営業・フリーランスには傷病手当金・雇用保険がなく、働けなくなった瞬間に収入がゼロになる
- 独立前に「生活防衛資金6ヶ月分」「所得補償保険」「撤退シナリオの整理」の3つを準備する
- 夢を持って動くことは正しい。セーフティネットを持って動くことで、その夢を長く続けられる
【免責事項】本記事は筆者の臨床経験と当事者視点に基づく一般的な情報提供であり、特定の診断・治療・雇用関係の法的助言を行うものではありません。心身の不調が続く場合は医療機関、職場の問題は労働相談窓口など専門機関にご相談ください。
📚 参考・引用文献
- 厚生労働省「傷病手当金について」(健康保険・協会けんぽ)(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/iryouhoken15/index.html)
- 厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン(令和4年改定版)」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000192188.html)
- 中小企業庁「小規模企業の持続的発展」(https://www.chusho.meti.go.jp/)
🔗 同じテーマの関連記事
📍 あなたの次のステップ
🌱 さいごに
辞めたい人だけが、備えるわけじゃありません。
いまの職場をできるだけ長く続けたい人ほど、「いつ何が起きてもいい次の手」を、そっと準備しておくこと——。
それが、いちばん心が楽になる道だと、私は思っています。
この記事が、あなたの「いつか」のとなりに、ほんの小さな「次の手」を置くきっかけになれたら嬉しいです🐢

