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医療職の「辞めたい・人間関係・消耗」に、現場の本音で寄り添うブログ | メディカルリカバリーラボ
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精神科ナースになって、わたしが学んだこと——共感・評価・依存と、消耗しない距離の取り方

2026 6/10
メンタルリカバリー 職場ストレス対処
2026年6月7日2026年6月10日

こんにちは、きこです🌷

精神科で看護師をしながら、医療職の働き方について書いています。

「人の気持ちがわかるのに、なぜか疲れる、、、」

「頑張っても、評価は”普通”のまま、、、」

「頼ること=依存なのかな、と後ろめたい、、、」

📌 この記事は、こんな方へ

・共感力が高いと言われるのに、関わったあと消耗してしまう方

・評価制度の中で、自分の頑張りを見失いそうになっている方

・人との距離の取り方を、現場目線で整理したい方

📋 この記事でわかること

・「気持ちがわかる」が武器にも落とし穴にもなる理由
・「完璧にできて3」の評価制度の中で、心を守る考え方
・依存症の人の本当の姿と、「頼る」と「依存する」の違い
・夜勤明けに脳が休まらないときの、距離の取り方

身体障害の分野で長く働いたあと、精神科の訪問看護に移って、もうすぐ2年になります。

分野が変わって、最初は戸惑うことばかりでした。でも2年関わってきて、現場が静かに教えてくれたことがいくつもあります。共感のこと、評価のこと、依存のこと。そして、自分が消耗しないための距離の取り方。

この記事は、その学びを、ひとつずつ書き留めたものです。

目次

「気持ちがわかる」は、武器にも落とし穴にもなる

精神科では「傾聴」が大切だと言われます。それは間違いないと思います。でも、共感するだけでは届かない場面があることも、実感するようになりました。

利用者さんの現実認識が、歪んでいると感じるとき。そこで「そうですね」と合わせ続けることが、本当にその人のためになるのか。迷うことがあります。専門家として、違う視点を静かに差し出すことが、回復につながることもあります。

それに、「自分もつらい経験をしたから、その人の気持ちがわかる」という動機で支援に入る人は、少なくありません。わたし自身も、そういう気持ちがないとは言えません。

でも、それが「感情の投影」になってしまうことがあります。自分のつらさと、目の前の人のつらさが混ざってしまって、気づかないうちに自分の感情を相手に乗せてしまう。「気持ちがわかる」という感覚は、武器にもなれば、落とし穴にもなる。そう感じています。

💡 支援者自身のメンテナンスが、結局は相手のためになる

今日のわたしは、自分の感情と相手の感情を、ちゃんと分けられているか。自分の消耗を、誰かへの過剰な関与で埋めようとしていないか。自分の状態を客観視することが、支援を支える土台になります。理屈ではなく、現場で身体が教えてくれたことです。

「完璧にできて3です」と言われた日

人事考課の季節になると、職場の空気がふっと重くなります。本来は、頑張っている人が認められる機会のはずです。でも現実は、そう単純にはいきません。

ある年、新しい評価責任者がこう言いました。「完璧に仕事ができて3です。4や5を自分でつけてくる人がいるけれど、信じられない。私自身も3以上をつけたことはありません」と。

わたしは思いました。では、4と5は何のためにあるのだろう、と。実質的に機能しているのは1から3だけ。しかも3を下回るとボーナスに影響する。すると評価する側も「下げたくない」が先に立ちます。

目標設定をしましょうと言われても、誰も挑戦的な目標を立てません。達成できなければ評価が下がるからです。だから「挨拶をきちんとします」のような、確実にクリアできる目標が並ぶ。すると今度は「最近の人はいい加減な目標しか立てない」と言われる。でも、そうさせているのは構造そのものではないか、と感じていました。

数年前、業務を掛け持ちしながら資格取得のために学校にも通っていた時期がありました。当時の評価者は、控えめにつけたわたしの自己評価を見て「いや、あなたはもっとやっているよ」と点数を上げてくれました。その一言に、「ちゃんと見ているよ」というメッセージを感じました。数字よりも、そのメッセージの方が、ずっと力になりました。

📋 評価と、自分の頑張りを切り離す練習

数字でつけられた評価は、ある人から見た自分の一側面でしかありません。自分の仕事の価値そのものではない。そう思えるようになってから、少しだけ呼吸が楽になりました。手を抜けない性格は、変えなくていい。ただ「評価」と「頑張り」を分けて置いておく。それだけで、心が守られます。

依存症の人は「だらしない」のではなく、真面目すぎた人だった

アルコール依存症というと、「意志が弱い」「だらしない」というイメージを持っていた時期が、わたしにもありました。

でも、訪問看護で向き合う機会が増えて、気づいたことがあります。むしろ「真面目すぎる人」が多い、ということでした。

嘘がつけない。理不尽を流せない。対人関係でうまく立ち回れない。そういう不器用さを持った人たちが、気づいたらアルコールに頼っていた——そういうケースを、何度も見てきました。

多くの人は、趣味や愚痴や気晴らしで息を抜きます。でも真面目すぎる人は、それが苦手です。「こんなことで休んでいいのか」と感じてしまう。愚痴を言うのが申し訳ない。だから限界まで一人で抱え込む。そうして追い詰められたとき、「飲むと少し楽になる」を体験してしまうと、アルコールが唯一の逃げ場になっていきます。

依存症は、限界を超えるまで頑張り続けた、真面目で不器用な人が陥る「罠」に近いものだと、いまは思っています。目の前の人の「だらしなさ」に見えるものが、実は限界まで頑張った痕跡なのだと、静かに感じるようになりました。

「頼る」ことと、「依存する」ことは違う

依存について考えるとき、わたしは自分のことも振り返ります。正直に言うと、パートナーがいないと心細くなります。疲れて帰ったとき、話を聞いてもらえる人がいるかどうかで、同じ疲れでも重さが違う。「これって共依存なのかな」と思ったこともありました。

でも、どうやら違うようです。共依存は、2人で1つの浮き輪にしがみついて、お互い身動きが取れず沈みかけている状態に近い。相手がいないと機能できない関係です。

相互依存は違います。それぞれが自分の船に乗って、自分でオールを漕いでいる。でも、しんどいときはロープを繋いで引っ張り合える。仕事も趣味も一人でできる。でも、しんどいときだけ夫のナギに話を聞いてもらう。それで気持ちが整理される。これは依存ではなく、支え合いだと思いました。

📖 頼ることへの後ろめたさを手放す

医療の現場にいると、「自分がしっかりしなければ」という意識が強くなります。誰かを支える立場にいる以上、自分が弱ってはいけない気がする。でも、頼ることと依存することは別物です。自分の軸がありながら、しんどいときに人の力を借りる。それは弱さではなく、自分をきちんと扱えているということ。自分が倒れてしまってからでは、誰かを支えることもできません。

夜勤明け、脳が「帰れない」夜のこと

距離の取り方は、人との間だけの話ではありません。仕事と自分の間にも、距離が要ります。

夜勤明けに帰宅して、玄関のドアを閉めたとき。体は家にいるのに、頭はまだ病棟にいる感覚——それが、何年も続きました。帰宅後も自動的に家事を始めて、眠れないまま昼を迎える。そのサイクルを、3年近く繰り返していました。「みんなこういうものだろう」と思っていたんです。

夜勤中は、何があっても対応しなければならない緊張が続きます。交感神経が優位なまま布団に入っても、体は眠れる準備ができていない。それを当時のわたしは、「自分がうまく休めない」という個人の問題として抱えていました。

あるとき、夫のナギに言われました。「夜勤明けに何してるの? それ、休めてないじゃん」。責める言い方ではありませんでした。でもその一言で、はじめて腑に落ちました。休んでいるのに、休めていなかったんだ、と。

💡 完璧じゃなくていい。「気づける」だけで変わる

いまは、帰宅後すぐに家事を始めるのをやめました。玄関を入ったら、まず横になる。それだけでも変わりました。脳が職場に残ること自体は、まだあります。でも「あ、また帰れてないな」と気づけるようになっただけで、ずいぶん楽になりました。

合わない職場でも、まともにぶつからなくていい

距離の取り方は、職場全体に対しても使えます。

条件そのものは悪くないのに、「今までで一番合わない」と感じる職場があります。強烈な年功序列で、上を持ち上げるのが当たり前の空気。意見を持つ人、できると主張する人が、徹底的に打たれる。だからみんな、安全でいるために息を潜めています。

最初は腹も立ちました。でもある時期から、心理学的に考えるようにしました。アドラー心理学に「優越コンプレックス」という言葉があります。本当の自信を持てない人ほど、他人を下げることで自分の位置を確認しようとする。優秀な部下は、彼らにとって脅威に見える。だから排除したくなる。そういうことなのだと思います。

それに気づいてから、ひとつの立ち回りを覚えました。自分で判断できることでも、あえて「ここ、どうしたらいいですか?」と聞く。相手に「教える隙」を意図的に作るのです。すると、面白いように警戒心が解けていきます。

これは、自分を曲げているわけではありません。理不尽な環境で、真正面からぶつかることだけが選択肢ではない。「あえて教えを乞う」というクッションを使えば、消耗せずに自分を守れる。そのことに気づいてから、少し楽になりました。

🌿 この記事のまとめ

・共感は武器にも落とし穴にもなる。自分の感情と相手の感情を分ける
・「評価」と「自分の頑張り」を切り離して置いておく
・依存症は、真面目すぎた人が陥る罠。頼ることと依存は違う
・夜勤明けは「気づける」だけで楽になる。完璧じゃなくていい
・合わない職場では、まともにぶつからず、距離で自分を守る

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【免責事項】本記事は筆者の個人的な体験に基づく記録です。特定の診断・治療・法的助言を行うものではありません。心身の不調が続く場合は医療機関、職場の問題は労働相談窓口など専門機関にご相談ください。

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🌱 さいごに

教える側も、教わる側も、支える側も、誰もが消耗しないでいられるように——。

それは、すぐには変えられない大きな話に見えるかもしれません。

でも、気づいた一人が距離の取り方を少しだけ変えるところから、自分の心は静かに守られはじめると思っています。

この記事が、あなたの「距離の取り方」のヒントにひとつでもなれば嬉しいです🌷

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この記事を書いた人

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🐢 ナギ(作業療法士)
作業療法士18年・整体師。7年のダブルバインド環境で体重が7kg減り、転職を決意した当事者。HSP気質。「逃げることも選択肢のひとつ」と伝え続けています。

🐰 キコ(精神科看護師)
精神科看護師。働きながら通信制看護学校を卒業し校長賞を受賞。退職相談を経て部署移動を選んだ当事者。夫ナギとともに、医療職のリアルな回復・働き方を発信中。

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