こんにちは、きこです🌷
精神科で看護師をしながら、医療職の働き方について書いています。
「人付き合いは、嫌いじゃない、、、」
「むしろ、人と関わる仕事を自分で選んだ、、、」
「なのに、家に帰るとどっと疲れて、しばらく動けない、、、」
この記事は、こんな方へ
・人と関わるのは好きなのに、職場でどっと疲れてしまう看護師・医療職の方
・「社交的だね」「元気そう」と言われるほど、本当のしんどさをわかってもらえないと感じる方
・自分は外向的なのか繊細なのか、よくわからないと感じている方
📋 この記事でわかること
・「人が好きなのに疲れる」をうまく説明してくれる「HSS型HSE」という気質
・精神科看護師の私が、HSEゆえに現場で消耗していたパターン
・気疲れとほどよく折り合うために、私がやめた・始めた5つの工夫
・気疲れがたまっているときに出るサイン
夜勤明けの朝でした。
詰所ではみんなと笑って、患者さんとも穏やかに話せて。「今日もいい日だったな」と思いながら、家のドアを開けます。
そして、靴を脱いだ瞬間に、力が抜けました。
玄関にしゃがみ込んだまま、しばらく動けません。着替える気も、ごはんを作る気も起きない。
人と話すのは、好きです。むしろ、人と関わる仕事を自分で選びました。
なのに、どうしてこんなに疲れるんだろう。
長いあいだ、私はこれを「自分の甘え」だと思っていました。
「人が好きなのに疲れる」は、矛盾でも甘えでもなかった
繊細な人を指す「HSP」という言葉は、最近よく知られるようになりました。
でも、HSPと聞くと「内向的で、ひとりが好きな人」を思い浮かべる方が多いと思います。
私は、ずっと違和感がありました。
私は人が好きです。新しい受け持ちも、初めての場面も、わくわくします。ひとりにこもりたいタイプとは、少し違う。
気質には、もう少し細かい組み合わせがあります。
「繊細さ(HSP的な感受性)」と、「刺激を求める力(HSS=刺激探求)」。この2つは、別々のものさしです。
両方が高い人がいます。繊細なのに、刺激を求める。アクセルとブレーキを、同時に踏んでいるような状態です。
その中でも、エネルギーが外(人や場)に向かうタイプ——それが「HSS型HSE」と呼ばれる気質です。
「人が好き」と「人といると疲れる」は、矛盾なく、同じ私の中に同居していたのだと知ったとき、長年の違和感がほどけました。
HSP・HSS・HSEは、医学的な診断名ではありません。あくまで、自分の気質を理解するための「地図」のひとつです。それでも私には、その地図があるだけで、ずいぶん楽になりました。
精神科の現場で、HSEの私が消耗していた3つのパターン
気質に名前がついても、現場のしんどさがすぐ消えるわけではありません。
振り返ると、私が消耗していた場面には、はっきりした形がありました。
ひとつめは、刺激を自分から取りに行ってしまうこと。
夜勤、初めての受け持ち、委員会の係。「やってみたい」と思うと、つい手を挙げてしまいます。HSSの「刺激を求める力」が、そうさせます。動いている自分が好きなんです。
でも、繊細さのほうは、その刺激をぜんぶ深く受け取ってしまう。だから、あとで一気に重みが来る。
ふたつめは、人の感情を、必要以上に持ち帰ってしまうこと。
精神科の仕事は、患者さんの揺れにていねいに付き合います。スタッフ間の空気の変化にも、よく気づきます。気づけることは、看護師としては悪いことではありません。ただ、気づいたぶんだけ、私の中に蓄積していきました。
みっつめは、いちばん厄介でした。
私は、人前では元気に見えるんです。よく笑うし、よく話す。だから「きこさんは大丈夫そう」と思われる。外に見えている元気と、内側で減っているエネルギーが、まったく一致していなかった。
そして、いちばんだまされていたのは、私自身でした。「今日も笑えたし、平気」と思い込んで、限界のサインを見送り続けていました。
職場を出ても、私は「止まれない」人でした
消耗するのは、職場の中だけではありませんでした。
家に帰っても、私のアクセルは、踏まれたままです。
頭の中には、やりたいことがいつもたくさんあります。
でも、できていない。その「できていない」が、ずっと私を焦らせます。
家が散らかっていると、それだけでイライラして、落ち着いて座っていられません。
休みの日も、たいてい予定で埋まっています。
子どもと過ごす時間は、私には絶対に削れないものです。だから休日は、ほとんど子どものことに使います。
塾の面談は、自分から定期的に入れて、様子を聞きに行く。参観日も、必ず参加します。
「今週はなにも用事がない」という休みは、私にはほとんどありません。
年齢的に体調が心配になってきた両親にも、会いに行きます。会えるうちに、会っておきたいから。
どれも、私が「やりたい」と思って選んだことです。誰かに強制されたわけでは、ありません。
でも、と思うのです。「やりたい」で選んだ予定でも、繊細さのほうは、ちゃんと疲れている。
それがいちばんはっきり出るのが、庭の草抜きです。
疲れていても、一度始めると、抜き終わるまでやめられません。
「途中でやめる」という選択肢が、なぜか出てこないんです。
そして終わったあと、手が震えて、しばらく動けなくなることがあります。
あのときの私は、たぶん、とっくに限界を越えていました。
それでも、止まれなかった。HSSの「動いていたい」が、ブレーキより強かったんです。
だから私は、「止まれない自分」を責めるのを、やめることにしました。
かわりに、止まらなくてすむ仕組みを、少しずつ作っていく。次に書く5つは、その仕組みです。
気疲れと折り合うために、私がやめた・始めた5つの工夫
気質は、変えられません。でも、付き合い方は変えられます。
消耗の波を小さくするために、私が少しずつ試してきたことを5つ書きます。どれも、特別なことではありません。
① 「予定が埋まっている=充実」をやめた
💡 「空白の予定」も予定として扱う
HSEの私は、休みの日も予定を入れたくなります。誘われると、うれしくて受けてしまう。でも、予定が詰まった週ほど、週末に動けなくなっていました。いまは、カレンダーに「なにもしない日」を先に書き込みます。空白も、立派な予定です。
② 帰宅後の「ひとり時間」を、最初から組み込む
💡 「回復の時間」をケチらない
人と関わったあとは、静かな時間で充電し直す必要があります。私は帰宅後の30分を、誰とも話さず、スマホも見ない時間にしました。手を抜いている感じがして、最初は罪悪感がありました。でも、ここを削ると、翌日の私がもっと削れます。
③ 「誘いを断る=冷たい人」という思い込みを手放した
💡 断ることは、関係を切ることではない
人が好きだからこそ、誘いを断るのが苦手でした。「冷たいと思われたくない」と。でも、無理して参加して、疲れ切って次に会えなくなるほうが、関係には響きます。「今日は休むね、また誘って」と言えるようになってから、人付き合いがむしろ長続きするようになりました。
④ 刺激は「仕事の外」で取りに行く
💡 「やってみたい」の行き先を分ける
HSSの「刺激がほしい」気持ちは、消えません。それを全部、仕事で満たそうとすると、繊細さのほうがもたない。だから私は、刺激の行き先を仕事の外につくりました。週末の小旅行、新しいお店、夫との釣り。心が満たされると、現場で無理に手を挙げなくてすみます。
⑤ 「元気そう」と言われたら、むしろ立ち止まる
💡 周りの「大丈夫そう」を、自分の物差しにしない
HSEは、しんどいときほど元気に振る舞えてしまいます。だから「元気そうだね」は、私にとっては安心材料ではなく、確認のサインです。そう言われた日は、帰り道で一度立ち止まって、本当の残りエネルギーを自分に聞くようにしています。
5つとも、つまりは同じことを言っているのかもしれません。外に向かう力と、内で消耗する繊細さ。その両方に、ちゃんと席を用意してあげる——それだけのことです。
気疲れがたまっているサイン
HSEの消耗は、わかりにくい形でやってきます。落ち込むというより、「動けなくなる」「人が遠く感じる」という静かな形です。
私が、自分の状態を点検するために使っているサインを置いておきます。
⚠️ こんなサインが出ていたら、気疲れがたまっています
・休日なのに、人に会う気力がわかない
・詰所の雑談が、いつもより遠く感じる
・帰宅後、何もできずに座り込む時間が増えた
・「楽しかったはずなのに、なぜか疲れた」が口ぐせになっている
・好きだったはずの刺激(新しいこと)に、心が動かない
・疲れているのに体を動かし続け、あとで手が震える・力が入らない
3つ以上あてはまるなら、気質のせいではなく「充電切れ」のサインだと思っています。予定を減らして、ひとりの時間を増やす合図です。
夫(OT・HSS型HSP)から見た、私
私の夫のナギは、作業療法士です。そして、私と同じ「繊細×刺激探求」の気質を持っています。ただ、ナギはエネルギーが内に向かうHSS型HSP。外に向かう私とは、ちょうど逆向きです。
📖 夫・ナギの視点
きこは、人の輪の真ん中にいるのが似合う人です。集まりに行くと、いちばん楽しそうにしている。でも帰り道、車に乗った瞬間に、ぴたっと静かになる。最初は「機嫌が悪いのかな」と心配しました。いまはわかります。あれは、楽しかった反動で、静かに充電し直している時間なんです。だから僕は、帰り道は話しかけずに、ただ運転します。
同じ気質を、逆向きに持っているからこそ、わかり合えることがあります。「いまは充電の時間だね」と、言葉にしなくても通じる。それは、私にとって大きな支えです。
🌿 まとめ
・「人が好きなのに人といると疲れる」のは、矛盾でも甘えでもない
・繊細さと刺激探求の両方が高く、外に向かうのが「HSS型HSE」という気質
・消耗を小さくする工夫は、外に向かう力と内の繊細さに、両方の席を用意すること
・「元気そう」と言われたときほど、自分の残りエネルギーを点検する
・気疲れは静かに来る。動けない・人が遠い、を充電切れのサインと考える
※本記事は、精神科看護師である筆者の経験と考えに基づく内容です。HSP・HSS・HSEは心理的な気質をあらわす概念であり、医学的な診断名ではありません。心身の不調が続く場合は、医療機関や専門家への相談をご検討ください。
参考
・繊細さ(敏感性)の気質について:エレイン・N・アーロン『ささいなことにもすぐ「動揺」してしまうあなたへ。』
・刺激探求(HSS)は、感受性とは別の軸として論じられる気質概念です。本記事の「HSS型HSE」は、これらを組み合わせた当事者向けの理解のしかたとして用いています。
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無理を重ねないという選択も、立派なケアのひとつだと、私は思っています。
この記事が、あなたが自分を整える時間を、ほんの少しだけ取り戻すきっかけになれたら嬉しいです🌷

