こんにちは、きこです🌷
精神科で看護師をしながら、医療職の働き方について書いています。
「発言しても、誰の手も動かない、、、」
「私の声が、なぜか職場に届いていない気がする」
「准看から正看になって、何が変わるんだろう」
📌 この記事は、こんな方へ
・准看から正看を目指して、いま頑張っている方
・カンファレンスで声が通らない経験を持つ方
・働きながら資格を取った人の現実を知りたい方
📋 この記事でわかること
- 准看護師→正看護師への転換ルートと通信制の特徴
- 仕事・授業・家庭を両立するための時間管理の考え方
- 3年間継続できた具体的な習慣と学習法
- 資格取得後に変わること・変わらないこと
「准看で十分じゃないの?」と言われるたびに、胸の奥で何かが引っかかっていた。
正確には、引っかかる、というより——じわじわと締まっていく感覚、と言った方が近いかもしれません。
私が正看護師の資格取得を本気で考え始めたのは、30代に入ってしばらく経った頃でした。当時は精神科病棟で准看護師として働いていて、臨床経験だけで言えば10年を超えていました。スキルに不安があったわけじゃない。でも、カンファレンスで発言するたびに感じる「あの空気」が、ずっと頭から離れなかった。
3年後の卒業式で、私は校長賞をいただきました。この記事では、その3年間に私が実際に経験したこと——失敗も、しんどかった夜も含めて——を書いていこうと思います。
「対等に立ちたい」と思った、あの日のカンファレンス
きっかけは、ある火曜日の午後のカンファレンスでした。
患者さんの退院調整について私が意見を出したとき、記録係の先輩がちらっとこちらを見て、何も書かずに次の議題に移ったんです。発言が無視されたわけじゃない。でも「記録に残さなくていい話」と判断された——そんな感じがした。
帰りのロッカーで着替えながら、「私の言葉は、重さが違うんだ」と思いました。同じことを師長が言えば、記録係の手が動く。准看護師として何年働いても、書類の上の肩書きひとつで、発言の扱われ方が変わる。それがたまらなく嫌だった。
「対等に立ちたい」——うまい言葉が思いつかなくて、夫のナギにそう話したら、「じゃあ取りに行けばいいじゃないか」と、それだけ言ってくれました。
准看護師→正看護師への転換ルート
通信制を選ぶことは、ほぼ最初から決めていました。私には当時6歳と9歳の子どもがいて、日中の全日制は現実的ではなかった。問題は「通信制で本当にやっていけるのか」という不安の方でした。
| ルート | 期間 | 特徴 |
|---|---|---|
| 通信制看護学校(2年課程) | 2〜3年 | 働きながら通える。10年以上の実務経験が入学要件 |
| 全日制看護学校(3年課程) | 3年 | 昼間通学。仕事との両立が難しい |
「通信制だから楽でしょ」と言われたことが何度かありましたが、正直それは違います。スクーリングは月に2〜3回ほど土日をまるごと使い、レポートは締め切りが重なると平日夜が毎日つぶれる。実習は病棟勤務のシフトと別に組まれるので、夜勤明けに実習、という週も1年目に2回ありました。あのときは本当に、身体がついていくか心配だった。
入学要件の「10年以上の実務経験」は私にとってクリアでしたが、勤め先の職場に入学を伝えるときは緊張しました。「辞めるのか」と思われるんじゃないかと。師長には「続けながら取りたい」と正直に話したら、「スクーリングのシフトは相談に乗る」と言ってもらえて、それだけで少し肩の荷が下りました。
3年間を乗り越えるための時間管理
1年目の秋、私は完全にスケジュール管理を失敗しました。
レポートの締め切りが3本重なった週に、子どもが熱を出して、私自身も軽い風邪を引いて。「もう無理かもしれない」と思いながら夜中の1時にテキストを広げていた夜のことは、今でも鮮明に覚えています。あのとき泣いたのは、疲れのせいだけじゃなかった。「なんで私だけこんなに必死なんだろう」という、みっともない嫉妬みたいな気持ちもあった。
それからは少し、やり方を変えました。
💡 続けるために変えた4つのこと
- 「隙間の5分」を積み重ねる——朝6時45分に子どもを送り出したあとの15分、昼休みの10分、通勤の電車20分。まとまった時間は週末のスクーリング以外ほぼ取れなかったので、こういう細切れをつなぐしかなかった
- 子どもたちに「お母さんは今学生でもある」と話す——「静かにして」と言うより、テキストを広げている姿を見せていた方が、子どもたちは自然にわかってくれた。9歳の長女が「お母さん、これ読んでる?」と暗記カードを手伝ってくれるようになったのは、2年目の春頃でした
- 夕食をナギに完全に任せる——これが一番大きかった。帰宅後すぐにテキストを開けるかどうかで、夜の集中力がまったく違う。感謝は今でも続いています
- 「3年で終わる」という期限を呪文にする——しんどい夜、「あと何ヶ月」を指で数えていた。期限があることが、続けられる理由になっていた
校長賞につながった「積極的な質問」の習慣
2年目のスクーリングで、薬理学の授業を担当していた先生に質問したことがありました。精神科で使う抗精神病薬の作用機序について、臨床で疑問に感じていたことを聞いたんです。
先生は少し驚いた顔をして、「それは教科書には載っていないけど、臨床的には重要な問いですね」と言ってくれました。そのあと放課後に15分ほど時間を取ってくれて、一緒に文献を引いてくれた。あの時間が、私にとって学校に通う意味を再確認させてくれた瞬間でした。
30代で学生に戻ると、最初は質問することが恥ずかしかった。20代の同級生たちに混じって「こんなことも知らないのか」と思われそうで。でも、臨床経験があるからこそ「なぜ?」が深い場所から出てくる。それに気づいてからは、むしろ経験があることが強みになった。
校長賞は成績だけでなく、学習姿勢や学校への貢献度も評価される賞だと卒業後に知りました。3年間、授業後の質問を欠かさず、レポートで自分の臨床経験を引きながら書き続けたこと——それが積み重なっていたんだと思います。
資格取得後に変わること・変わらないこと
正直に言います。仕事の内容は、ほとんど変わりませんでした。
点滴の滴下数を確認するのも、患者さんの訴えを聞くのも、記録を書くのも——以前と同じです。資格を取ったからといって急にできることが増えるわけじゃない。それは事前にわかっていたことでもあったので、失望はしませんでした。
でも、変わったことが確かにひとつあります。
カンファレンスで発言したとき、記録係の手が動くようになった。
気のせいかもしれない。私自身の発言の仕方が変わっただけかもしれない。それはわかりません。でも、発言するときの「迷い」が、前より少なくなったのは本当のことです。「私がこれを言っていいのかな」という一瞬のためらいが、薄くなった。資格は、スキルというよりも「自分が対等に立っていい」という根拠になる。私にとっては、それが一番大きな変化でした。
働きながら資格取得を考えている人へのチェックリスト
⚠️ 入学前に確認しておきたいこと
- 通信制の入学要件(実務経験年数)を満たしているか確認する
- 家族・パートナーに事前に相談し、役割分担を決めておく
- 「3年後の自分」を具体的にイメージしておく(それが継続の燃料になる)
- スクーリング期間の職場シフトを事前に調整できるか確認する
- 「ゼロにしない」勉強習慣(5分でもいい)を最初から設計しておく
まとめ
- 働きながら正看護師になるには通信制2年課程が現実的な選択肢
- 3重生活を乗り越えるカギは「家族との役割分担」と「隙間時間の積み重ね」
- 臨床経験があるからこそ深く学べる部分がある。それを強みにした方がいい
- 資格取得後、スキルより先に「自分が対等に立っていい」という感覚が変わる
【免責事項】本記事は筆者の臨床経験と当事者視点に基づく一般的な情報提供であり、特定の診断・治療・雇用関係の法的助言を行うものではありません。心身の不調が続く場合は医療機関、職場の問題は労働相談窓口など専門機関にご相談ください。
📚 参考・引用文献
- 厚生労働省「看護師等の人材確保の促進に関する法律」(https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=80098000&dataType=0&pageNo=1)
- 公益社団法人 日本看護協会「准看護師制度に関する日本看護協会の考え方」(https://www.nurse.or.jp/nursing/education/junkango/index.html)
- 厚生労働省「看護師等養成所の運営に関する指導ガイドライン」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000095525.html)
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🌱 さいごに
辞めたい人だけが、備えるわけじゃありません。
いまの職場をできるだけ長く続けたい人ほど、「いつ何が起きてもいい次の手」を、そっと準備しておくこと——。
それが、いちばん心が楽になる道だと、私は思っています。
この記事が、あなたの「いつか」のとなりに、ほんの小さな「次の手」を置くきっかけになれたら嬉しいです🌷

