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疲れた現代人に「回復の技術」を届ける | メディカルリカバリーラボ
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「起業なんてできるわけない」と笑った先輩が、その後自分で起業した。7年気づけなかったパワハラ・ダブルバインドと、抜け出す4ステップ

2026 5/15
職場ストレス対処 ハラスメント・パワハラ
2026年4月13日2026年5月15日

こんにちは、ナギです🐢

作業療法士として18年、いまは訪問のリハビリと、自費リハビリの副業をしながら、医療職の働き方について書いています。

「『起業なんて、できるわけない』と笑われたあの日、、、」

「その先輩が、その後自分で起業したと聞いた」

「私が7年気づけなかったパワハラの形って、なんだったんだろう」

📌 この記事は、こんな方へ

・ぼんやりとした圧やダブルバインドに長く苦しんできた方

・パワハラを『はっきり言葉』にしておきたい方

・『笑われた言葉』の本当の意味を、振り返ってみたい方

📋 この記事でわかること

  • ダブルバインド(二重拘束)という心理的支配のメカニズム
  • なぜ渦中にいると「環境の異常さ」に気づけないのか
  • 身体症状が出る前に見逃してはいけないサイン
  • 今の職場から抜け出すための4つの実践ステップ

入職した日、希望がありました。「何でもできる」という感覚がありました。新人研修のシートに「将来は起業したい」と書いたほどです。

その言葉は、笑いのネタになりました。

「起業? できるわけないやろ」——先輩にそう笑われました。その一言が、7年という時間の始まりでした。今こうして振り返ると、その7年は「ダブルバインド」と呼ばれる心理的支配の構造の中にいた時間だったのだと思います。そして渦中にいる人ほど、この異常さに気づけないんです。

作業療法士18年目の私が、当事者として体験してきたこと、そこから少しずつ見えてきた「抜け出すためのステップ」を、ここに書かせてください。

目次

そもそも「ダブルバインド(二重拘束)」とは

ダブルバインドとは、どの選択肢を選んでも叱責・否定される状況を継続的に作られることで、対象者が次第に自分の判断力を失っていく心理状態のことです。精神科医グレゴリー・ベイトソンが提唱した概念で、職場のパワハラでも頻繁に見られる構造だと言われています。

典型的なパターンはこういうものでした。

📋 私が経験した3つの「正解のない指示」

  • 「1日100個質問しろ」と言われ、少なければ「考えてない」、多ければ「そんなことも知らないのか」
  • 報告すれば「報告が遅い」、しなければ「勝手にやるな」
  • 意見を言えば「生意気」、言わなければ「主体性がない」

何を選んでも否定される。だから行動の基準が「相手の機嫌」になってしまうんです。この状態が続くと、自分で考えることが怖くなっていきます。

【体験談】「指摘されてもいい自分」でいるために、張り詰め続けた7年間

入職当初に笑われた「起業したい」という夢は、その後ずっと頭に引っかかり続けていました。やりたい気持ちはある。でも自信がない。「まだまだ実力が足りない」と思っているうちに、本当に時間が経ってしまいました。

挑戦することが怖くなっていたんです。

何を提案しても指摘される。どんな行動をしても否定材料にされる。そのうち私は「指摘されてもいい自分でいるように」と、常に張り詰めた状態で仕事をするようになっていました。先回りして失敗の芽を潰す。目立たないようにする。——これが「仕事ができること」だと本気で思っていたんです。

そして数年後、体重が7kgほど落ちていました。食べては吐くを繰り返し、胃カメラも大腸検査も異常なし。内科医に「ストレスはないですか?」と聞かれて、「特にないです」と答えました。本当にわからなかったんです。

【後日談】あれだけ否定した夢を、自分でやり始めた

その先輩は後に別の職場へ移り、そこで出会った人間関係の影響を受けて、自営業を始めました。

「起業なんてできるわけない」と笑っていた本人が、です。

連絡が来たとき、正直、腹立たしかったです。7年間否定し、小馬鹿にし続けてきたくせに、自分はやるのか、と。

だけど、時間が経ってから気づいたことがあります。

ダブルバインドをしてくる人間の言葉や態度には、大きな意味などなかったのだと思います。

「お前には無理だ」という言葉は、私の可能性を正確に評価した言葉ではありませんでした。その人が自分の支配を維持するために発した言葉に過ぎなかったのでしょう。先輩が起業できたという事実が、そのことを証明していると感じています。あの言葉に意味があったなら、先輩自身も動けなかったはずですから。

渦中にいるとき、ダブルバインドをしてくる相手の言葉を「自分への正当な評価」だと受け取ってしまうのです。でもそれは、支配の道具として使われた言葉なんです。その言葉で自分の可能性を測る必要は、一切ないと思います。

なぜ渦中にいると気づけないのか

①「学ぶことがストレスなんだ」という誤解

距離ができてから気づいたことがあります。先輩から連絡が来るたびに、背筋がぞくっとするような感覚があったんです。今、精神科OTとしてそういう状態の患者さんがいたら「その人とは距離を取りましょう」と間違いなく伝えると思います。

でも当時の私は「これは学びのためのストレスだ」と解釈していました。本当は人間関係が原因なのに、学ぶことそのものがストレスだと勘違いしていたんです。この誤解が、7年間を正当化し続けていたように思います。

②「石の上にも3年」という呪いが判断を歪める

日本では「耐えることが美徳」という価値観が根強く、特に医療職では新人期の苦労は当たり前とされがちです。「辛いのは成長痛だ」と自分に言い聞かせることで、異常な環境を正当化してしまうのだと思います。

③ストレス認知そのものが鈍くなる

長期間ストレスにさらされると、前頭葉の機能が低下し、自分の感情を客観視する力が落ちると言われています。「ストレスはないか」と聞かれても「特にない」と答えてしまうのは、強がりではなく、本当にわからなくなっているからなんです。

④比較対象が同じ環境の人しかいない

毎日同じ職場の人としか接しないと、その環境が「普通」になってしまいます。外の世界を知らないと、歪みに気づけないのだと思います。

【キコの話】「騙されてるんじゃない?」と言えなかった

精神科看護師のキコは、当時の私を外から見ていました。

「その先輩に騙されてるんじゃないか」——キコは何度もそう言ってくれていました。でも私は「そんなことはない、すごい人なんだ」と返し続けていました。言い合いになることもありました。キコもそのうち遠慮するようになっていきました。

今振り返ると、キコの直感は正しかったのだと思います。渦中にいる本人よりも、外から見ている人間の方が正確に状況を見ていることがあるんです。「おかしい」と言ってくれる人の言葉を、素直に受け取れなくなっていたこと自体が、すでに認知が歪んでいたサインだったのでしょう。

見逃してはいけない4つの身体・心のサイン

認知が鈍っていても、体は正直に反応します。以下のサインが出たら、環境を疑うタイミングだと思います。

⚠️ 見逃してはいけない4つのサイン

  1. 原因不明の胃腸症状:食べても吐く、食欲が急に落ちる、短期間で体重が減る
  2. 休日も仕事のことが頭から離れない:月曜日の朝、動悸や吐き気が起きる
  3. 特定の人の名前や連絡で体が反応する:通知を見るだけで体が固まる。ぞくっとする感覚がある
  4. 「自分は無能だ」という思考が止まらない:どんな小さな失敗も自分を責める材料にしてしまう

ダブルバインドから抜け出すための4ステップ

💡 ステップ1:物理的・情報的に距離を取る

まず相手との接触頻度を減らすことが大切だと思います。正面から断る必要はないんです。グラデーションで距離を作る。私の場合、「家族の用事で忙しい」という理由で少しずつそっけない返事に変えていきました。

💡 ステップ2:第三者の視点を入れる

信頼できる家族、友人、産業医、心療内科医など、職場外の人に状況を話すことが大切でした。「それは普通じゃない」と言われたら、高確率であなたの感覚が正しいのだと思います。キコが何度も言ってくれていたのに、私は7年間受け取れなかったんです。

💡 ステップ3:身体症状を「甘え」と処理しない

原因不明の不調は、心療内科や精神科の受診をためらわないでほしいと思います。体が先に悲鳴を上げているうちに手を打つと、回復が早いのです。

💡 ステップ4:辞める・離れる選択肢を現実にする

転職サイトに登録するだけでも、「逃げ場がある」という感覚が心の余裕を生みます。「逃げたらダメ」という呪いは、選択肢を奪われたときに強化されるものだと思います。選択肢が存在すること自体が、脳のストレス反応を緩めてくれるのです。

渦中の自分に戻れるなら伝えたいこと

先輩が退職してから、さらに数年の時間をかけて「あの環境は異常だった」と冷静に振り返れるようになりました。渦中ではどうしても気づけないのです。

でも今思うことがあります。もしあのまま精神疾患を発症していたら、生まれたばかりの子どもたちやキコに大きな負担をかけていたはずです。

職場は、人生の一部でしかないのだと思います。体と心を壊してまで守るべき場所はありません。そして、あなたの可能性を否定してきた人間の言葉に、正確さなどないのです。

まとめ:環境は「選び直せる」

🌿 この記事の要点

  • どの選択肢でも叱責される状況は「ダブルバインド」。能力の問題ではなく構造の問題
  • 渦中では認知が歪み、ストレス自体に気づけなくなる
  • 「学ぶことがストレス」という解釈は、人間関係問題の誤変換かもしれない
  • ダブルバインドをしてくる相手の言葉に、あなたの可能性を正確に測る力はない
  • 外から「おかしい」と言ってくれる人の声を、素直に受け取ることが第一歩

今の職場に違和感を感じているなら、まずは転職情報を見るだけでも気持ちが楽になることがあります。

📖 あわせて読みたい

  • ▶ ダブルバインドとは?パワハラに多い「二重拘束」の4パターンと抜け出し方
  • ▶ 「何もしたくない」は怠けじゃない—燃え尽き症候群のサインと対処法

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、医学的・法的な診断・助言に代わるものではありません。深刻な心身の不調を感じる場合は、必ず医療機関・専門家にご相談ください。

📚 参考・引用文献

  • 厚生労働省「パワーハラスメントの定義・類型」(https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/foundation/pawahara-definition)
  • 厚生労働省「職場のハラスメントに関する実態調査報告書(令和2年度)」(https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/newpage_18998.html)
  • Bateson, G. (1972). “Steps to an Ecology of Mind.” Chandler Publishing. (ダブルバインド理論の原典)

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  • ▶ ダブルバインドとは?パワハラに多い「二重拘束」の4パターンと抜け出し方
  • ▶ 「できる人が損をする」職場の構造的問題と、消耗しないための思考法・行動策
  • ▶ 職場ストレスを「溜めない」技術—毎日できるデプレッシャー習慣

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🌱 さいごに

辞めたい人だけが、備えるわけじゃありません。

いまの職場をできるだけ長く続けたい人ほど、「いつ何が起きてもいい次の手」を、そっと準備しておくこと——。

それが、いちばん心が楽になる道だと、私は思っています。

この記事が、あなたの「いつか」のとなりに、ほんの小さな「次の手」を置くきっかけになれたら嬉しいです🐢

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ダブルバインド ハウツー パワハラ 当事者体験
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この記事を書いた人

なぎのアバター なぎ

🐢 ナギ(作業療法士)
作業療法士18年・整体師。7年のダブルバインド環境で体重が7kg減り、転職を決意した当事者。HSP気質。「逃げることも選択肢のひとつ」と伝え続けています。

🐰 キコ(精神科看護師)
精神科看護師。働きながら通信制看護学校を卒業し校長賞を受賞。退職相談を経て部署移動を選んだ当事者。夫ナギとともに、医療職のリアルな回復・働き方を発信中。

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