こんにちは、きこです🌷
精神科で看護師をしながら、医療職の働き方について書いています。
「ある日突然、『教育係をやってみて』と言われた、、、」
「誰も教えてくれなかった指導の仕方、どうすれば?」
「自分が消耗しない教え方って、ある?」
📌 この記事は、こんな方へ
・教育係を任されたけれど、指導の方法を学んだことがない方
・『教える側』として消耗している方
・自分を守りながら教える方法を、現実的に知りたい方
📋 この記事でわかること
- 教育係が消耗しやすい構造的な理由
- 「新人ができないのは自分のせい」思考から抜け出す方法
- 教育係が消耗しないための5つの対処法
- 「限界です」を言うタイミングと伝え方
「あなた、新人の教育係をやってみて。」
そう言われたとき、私は断れませんでした。経験年数からすれば、適切なタイミングだったかもしれない。でも誰も、「どうやって教えるか」を教えてくれなかった。OTとして10年以上が経ち、後輩や実習生の指導を何度も担当してきた今でも、あのころの混乱は覚えています。
業務と指導の二重負担。「どこまで自分の責任なのか」という見えない境界線。じわじわと消耗していく感覚。この記事では、同じ状況にある医療職が消耗しないための考え方と対処法を、妻キコ(精神科看護師)の経験も交えながら書きます。
教育係が消耗しやすい構造的な理由
多くの医療現場における教育係の問題は、「役割だけ与えられ、リソースは与えられない」ことだと思っています。
⚠️ 教育係が抱えこむ4つの構造的な問題
- 指導のための時間は業務時間に含まれない
- 「教え方」を教わる機会がない
- 新人の失敗が教育係の責任として帰ってくる
- 「見て覚えろ」文化で育った人が教えると、言語化できない
特に「新人ができないのは教育係の責任」という空気は危険です。新人の習熟度には個人差があり、それを教育係ひとりが背負うのは構造的に無理がある。私はそれを、消耗しきってからようやく理解しました。もっと早く誰かに言ってほしかったと、今でも思います。
【キコの話】人手不足の病棟で、気づける人だけが壊れていく
キコが働く病棟では、看護師の離職が止まりません。
毎日、人手不足のまま仕事が始まる。行き着く間もなく患者対応が続く。休憩に行けない。水分も取れない。トイレにも行けない日がある。そうするとミスが増えて、始末書を書く。また翌日が来る。
その中でキコが言っていました。「周りに気づけるほど、仕事を放置できない。」患者の変化に気づく。処置が漏れそうなのに気づく。全部動いてしまう。気づかない人は放置できる。気づいてしまう人だけが全てを抱えて、壊れそうになる。
「こんなことが続くなら辞めたい」と思う——それは弱さではなく、正常な限界の信号です。
教育係の仕事は、そういう状況の上に乗っかってくる。正直、想像するだけで重くなります。
消耗しないための5つの対処法
💡 ① 「新人の失敗 = 自分の失敗」という思考を切り離す
新人が何かミスをしたとき、「自分の教え方が悪かった」と直結させる必要はありません。教育係には「最善のサポートをする責任」はあっても、「新人の成長を保証する責任」を一人で負うものではない。新人の習熟スピードは個人差があり、それは教育係がコントロールできるものではないのです。
私が最初の教育係を経験したとき、このことがわからなくて自分を責め続けました。今になってやっと、それが間違いだったとわかります。
💡 ② 「なぜそうするのか」を言語化する練習をする
「見て覚えろ」で育った世代は、行動の理由を言語化する習慣がないことが多いと思います。私も最初はそうでした。「なぜそうするのか」を1文で言えるように整理しておくだけで、新人の理解度が変わります。これに気づいてから、指導の手応えが変わりました。
💡 ③ 記録をつけてサポートを可視化する
「いつ、何を、どう教えたか」を簡単にメモしておく。これは師長への報告材料になると同時に、「自分はやることをやっている」という自己確認にもなります。消耗が「自己否定」につながらないための防衛線です。記録をつけていなかった時期、私は消耗がそのまま自分責めに変わっていました。
💡 ④ 「一人でやる仕事ではない」と認識して分担を求める
「私だけが責任を持つ」という前提を、最初から持たないことが重要です。「この部分は別のスタッフにも関わってもらえますか」と早い段階で相談することは、弱さではなく正しいリソース管理です。一人で抱えることが美徳だと思っていた時期が、私にもありました。違いました。
💡 ⑤ 「限界です」を早めに言う
キコはある時期、半年間一人で抱え込みました。ある朝、出勤前に涙が止まらなくなって、ようやく師長に「教育係を続けることが難しい」と伝えたのです。
師長の反応は「そんなに辛かったの?言ってくれれば良かったのに」だったと言っていました。
言えなかったのは、相談することを「弱さ」だと思っていたからだ、とキコは言いました。でも実際は、限界になる前に声を上げることが、チームとして正しい機能の仕方なのです。消耗しきる前に「これ以上は無理です」と言うことが、あなたにも新人にも、職場にとっても良い結果をもたらします。
「限界です」を伝えるときの具体的な言い方
📋 そのまま使える3つの相談フレーズ
- 「教育係を続けていますが、業務と並行するのが難しくなっています。指導時間を業務内に確保してもらうことは可能ですか?」
- 「新人の〇〇さんの指導に、別のスタッフも関わってもらえると助かります。一人では見切れない部分があります」
- 「このまま続けると自分も新人もうまくいかなくなりそうなので、相談させてください」
教育係を任せる側の人たちへ
「やってみれば育つ」という考え方には限界があります。教える技術は、誰かが教えなければ身につかない。教育係を任せるなら、以下を整えてほしいのです。
🌿 任せる側が整えるべき3つのこと
- 指導のための時間を業務内に確保する
- 「困ったら相談していい」という雰囲気を作る
- 新人の失敗を教育係だけの責任にしない
まとめ
- 教育係が消耗するのは個人の問題ではなく、リソースなしで役割だけ与えられる構造の問題
- 人手不足の現場では、気づける人・動ける人だけが全てを抱えて壊れていく
- 新人の成長速度は教育係がコントロールできるものではない。「自分のせい」思考から切り離す
- 消耗しきる前に「限界です」と言うことがチームにとって正しい選択だ
📚 参考・引用文献
- 厚生労働省「新人看護職員研修ガイドライン(改訂版)」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000049578.html)
- 独立行政法人 労働者健康安全機構(JOHAS)「職場のメンタルヘルス対策」(https://www.johas.go.jp/Default.aspx)
- 公益社団法人 日本看護協会「看護職の健康と安全に配慮した労働安全衛生ガイドライン」(https://www.nurse.or.jp/)
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📍 あなたの次のステップ
🌱 さいごに
教える側も、教わる側も、誰もが消耗しないでいられるように——。
それは、すぐには変えられない大きな話に見えるかもしれません。
でも、気づいた一人が関わり方を少しだけ変えるところから、職場の空気は静かに動きはじめると思っています。
この記事が、あなたの関わり方のヒントにひとつでもなれば嬉しいです🌷

