こんにちは、ナギです🐢
作業療法士として18年、いまは訪問のリハビリと、自費リハビリの副業をしながら、医療職の働き方について書いています。
「7時間寝てるのに、なぜ朝から肩が凝っているんだろう、、、」
「枕?マットレス?それとも別の何か?」
「睡眠の質って、どこをいじれば変わるの?」
📌 この記事は、こんな方へ
・睡眠時間は確保しているのに、疲れが残る方
・寝室環境を整え直したい方
・『眠りの質』を、無理なく上げたい方
「毎日7時間以上寝ているのに、朝から肩が凝っている」——私自身がヘルニアで2ヶ月近く動けなくなったとき、はっきり思い知りました。これは睡眠の量の問題ではなく、質の問題でした。そして睡眠の質に一番直結しているのが「寝室環境」、なかでも寝具と身体の関係だと気づきました。
【OT視点】「寝ても休めない」のは、体が浮いているから
OTとして18年間、患者さんの生活環境を整える仕事をしてきました。睡眠の問題で相談を受けたとき、まず確認するのが「体と寝具の密着度」です。
人間の体には「支持基底面」という概念があります。体が地面や寝具に接触している面積が広いほど、神経系が安定し、筋肉の緊張が抜けてリラックスできます。逆に接触面が少ないと、体は「不安定だ」と感知して筋肉を緊張させ続けます——眠っている間も。
特に問題になりやすいのが反り腰の方です。硬すぎる布団や薄いマットレスで寝ると、腰椎の自然なカーブのせいで背中が浮いてしまいます。この状態では支持基底面が極端に狭くなり、腰周りの筋肉が一晩中緊張したままです。起きたときに「腰が重い」「背中が張っている」のは、ここから来ているのだと気づきました。
ヘルニアを経験したとき、まず変えたのがマットレスでした。高反発タイプに変えた最初の感触は、「背中が意識しなくてもピッタリくっついている」という感覚でした。それまで浮いていた部分が支えられる。支持基底面が広がると、体全体の力が抜けるのだとわかりました。翌朝の肩こりと腰の重さが、はっきりと変わりました。膝の下にクッションを挟む習慣も、その頃から始めました。腰の反りが減って、寝ている間の負担が全然違います。
【臨床エピソード】タオル1枚で、翌朝の痛みが消えた
肩の痛みで悩んでいる患者さんに対しても、同じアプローチをよく使います。
肩関節は体の横に出っ張っているため、仰向けや横向きで寝ると肩が「浮いた」状態になりやすいです。接触面がなく支えられていない肩は、一晩中周囲の筋肉が引っ張り続けます。これが「朝起きると肩が痛い」の正体でした。
介入としてやることはシンプルです。肩の下にタオルを1枚丸めて入れる、横向きの場合は抱き枕を使って肩が落ちないようにする——これだけで「翌日痛みがなくなった」という方が何人もいました。高価な寝具を買い替えなくても、今夜から試せる方法です。
寝室環境の見直し5ポイント
💡 ①マットレス・枕:体に「密着する」ものを選ぶ
マットレスは柔らかすぎると腰が沈みすぎ、硬すぎると体が浮いてしまいます。反り腰・腰痛持ちの方には高反発タイプが合いやすいです。枕は「首が自然なS字カーブを保てる高さ」が基準。横向きに寝る方は肩幅分、高めの枕が適しています。
今すぐできる対処:膝の下にクッションやタオルを挟むだけで腰の反りが減り、楽になることがあります。私自身も毎晩やっています。
💡 ②室温:18〜22℃が深い眠りの条件
深い睡眠(ノンレム睡眠)に入るには深部体温が下がる必要があります。室温が高いと体温が下がらず眠りが浅くなってしまいます。夏はエアコン26℃設定でも体感温度が高い場合があるため、タイマーや除湿を活用するとよいです。
💡 ③光:「完全遮光」を目指す
わずかな光でも睡眠ホルモン(メラトニン)の分泌が抑制されます。遮光カーテン+アイマスクの組み合わせが最も効果的です。スタンドライトのLEDインジケーターの光も意外と影響するため、気になる方はテープで塞ぐだけでも改善することがあります。
💡 ④騒音:完全な静寂よりホワイトノイズ
外からの騒音対策には、静寂を目指すより「雨音・波音・ファンの音」などのホワイトノイズを流す方が効果的なことがあります。突然の音の変化が覚醒を引き起こすため、一定の背景音があると睡眠が安定します。
💡 ⑤ブルーライト:スマホだけじゃない
就寝1〜2時間前からスマホを控えることはよく知られていますが、部屋の蛍光灯もブルーライトを多く含みます。就寝1時間前から電球色(オレンジ系)の照明に切り替えるだけで、自然な眠気が来やすくなりました。
【キコの話】夜勤明けの睡眠は「自律神経の切り替え」が最大の壁
妻のキコ(精神科看護師)が、夜勤明けの睡眠で長年苦労してきた話をしてくれました。
夜勤中の仮眠は、条件がそろえば3時間ほど取れることもあるそうです。でも急変があればゼロ。環境は処置用の硬いマット、個室ではあるものの、いつ呼ばれるかわからない緊張感の中での睡眠だと言っていました。寝る順番もその日の担当同士で決めるため、時間も一定しない。「仮眠を取った」とはいっても、起きたときの眠たさは尋常じゃないとキコは話していました。
帰宅後の一番の問題は自律神経の切り替えだとキコは言います。夜勤中は何があっても対応しなければならない緊張状態が続く。交感神経が優位なまま、「特別なことは何もなかった」夜でさえ、興奮状態のまま明けを迎えていることが多いそうです。その状態のまま布団に入っても、体は眠れる準備ができていないのだと気づきました。
キコが効果を感じたのは、帰宅後すぐの半身浴(30分)でした。お湯につかりながらぼーっとする。何も考えない。それが副交感神経への切り替えスイッチになると話していました。その後に遮光カーテンで部屋を完全に暗くして眠ると、翌日の回復が全然違うとキコは言っています。
夜勤明けの睡眠は「早く眠ろう」と焦るより、まず体を「眠れる状態」に切り替えること——これが最初の一歩だと、2人で話し合うようになりました。
まとめ
睡眠の質は「時間」より「環境と体の状態」で決まるものでした。今夜からできることは2つ。①体が寝具に密着しているか確認する(タオル1枚・膝下クッションから試せます)、②光を遮断して副交感神経が働ける環境を作る。腰痛・肩こりに悩んでいる方は、マットレスの見直しも考えてみてください。高反発マットレス+膝下クッションの組み合わせは、私が実際に変えてから翌朝がはっきり変わりました。
ヘルニアで動けなかった時間が、そう教えてくれました。
📚 参考・引用文献
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(https://www.mhlw.go.jp/content/001114280.pdf)
- 一般社団法人 日本睡眠学会(JSS)(https://jssr.jp/)
- 国立精神・神経医療研究センター(NCNP)睡眠・覚醒障害センター(https://www.ncnp.go.jp/hospital/patient/sleep.html)
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無理を重ねないという選択も、立派なケアのひとつだと、私は思っています。
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