こんにちは、ナギです🐢
作業療法士として18年、いまは訪問のリハビリと、自費リハビリの副業をしながら、医療職の働き方について書いています。
「ストレスはない、と答えていたあの日、、、」
「気づけば体重が7kg減っていた」
「『何もしたくない』は、私の怠けじゃなかったのかもしれない」
📌 この記事は、こんな方へ
・自分のストレスに気づきにくいタイプの方
・「何もしたくない」を、怠けだと責めてきた方
・燃え尽きの早期サインを、もう一度確認しておきたい方
「仕事が嫌というより、もう何もする気が起きない」「以前は好きだったことに興味が持てない」——そんな状態が続いているなら、それはただの疲れではなく燃え尽き症候群(バーンアウト)のサインかもしれません。
燃え尽き症候群とは
燃え尽き症候群は、長期間にわたるストレスや過負荷によって心身のエネルギーが枯渇した状態です。WHO(世界保健機関)でも職業上の現象として定義されています。
3つの主な症状:①情緒的消耗感(何もかも面倒・感情が平坦になる)、②脱人格化(人に冷淡になる・仕事が機械的になる)、③個人的達成感の低下(何をやっても無意味に感じる)
【体験談】身体が先に悲鳴を上げた
7年間のダブルバインド環境にいた末期、私の身体に異変が起きました。
急にご飯が食べられなくなりました。食べては吐くを繰り返し、1〜2ヶ月で体重が7kg減りました。内科を受診しても「ストレスはないか?」と聞かれましたが、「特にないです」と答えました。正直、そのときは本当にないと思っていたのです。長期間ダブルバインドの環境にいると、自分がストレスを受けていること自体に気づけなくなる。それがどれほど危険なことか、身体が壊れて初めてわかりました。
「逃げたらダメだ」「石の上にも3年」——この言葉が頭を占領していました。それが、バーンアウトの悪化を止められなかった理由だと今は思います。
キコも「定期的に辞めたいと思う」と言っていました。頑張りすぎて帰宅後に放心状態になるサイクルを繰り返していたそうです。学生指導に力を注いだのに結果が伴わず、希望を失いかけた経験もあると話してくれました。医療職は「頑張れてしまう人」が集まりやすい職種だからこそ、バーンアウトに陥りやすいのだと、キコの話を聞いて改めて思いました。
あなたのバーンアウト度チェック
以下に3つ以上当てはまる場合は、早めの対処が必要です。
⚠️ バーンアウト早期サインチェック(3つ以上で要注意)
- 朝起きるのが辛く、仕事に行きたくない日が続いている
- 休日も疲れがとれず、楽しめない
- 以前は楽しかった趣味に興味が持てなくなった
- 小さなことでイライラしやすくなった
- 身体に原因不明の不調(食欲不振・胃痛・動悸など)が出ている
【OT視点】「自分らしい時間」を失ったとき、人は静かに壊れていく
現在、精神科でOTとして働いています。バーンアウトに陥った方と関わるなかで、ほぼ共通して見えてくることがあります。
「自分らしい時間をほとんど持てていない」——これが、ほぼすべてのケースに当てはまります。
アルコール依存症になった方、長期休職になった方。多くの事例で「仕事以外に自分の時間が一切なかった」という話が出てきます。余暇・休息・仕事の比率が完全に崩れた状態です。
私自身の話をすると、当時ラジコンのドリフトに夢中でした。友人と走りに行く時間が、仕事の疲れをリセットする唯一の場所でした。でも職場の文化が変わるにつれ、「勉強会は断れない」「プライベートの予定を優先することへの罪悪感」が積み重なっていきました。
気づけば私は、意識的にプライベートを楽しまないようにしていました。「職場に適応するため」に、好きなことを自分から手放したのです。
作業療法の理論でいえば、これは「作業バランス(Occupational Balance)」の崩壊に当たります。仕事・セルフケア・余暇のどれかが著しく偏ると、人は心身のバランスを保てなくなります。「楽しいと感じる作業」が生活から消えた状態は、バーンアウトの温床です。
今の自分の生活から、「これが好きだ」と言えるものが消えていたら——それ自体が、一つのサインかもしれません。
今すぐできる回復のための行動
💡 ①「何もしない時間」を意図的に作る
燃え尽きた状態では、無理にアクティブに動こうとすることが逆効果です。まずは1日30分「完全に何もしない時間」を設けます。ぼーっとする・ベッドに横になる・ただ外を眺めるだけでいいのです。
💡 ②「やること」を減らす
「もっと頑張らなければ」という思考がバーンアウトを深刻化させます。今週やることリストの中から1〜2つを削除します。「やらないことを決める」練習が回復への第一歩です。
💡 ③信頼できる人に話す
バーンアウトは一人で抱え込まないことが大切です。友人・家族・産業カウンセラーなど、安心して話せる相手に「最近しんどい」と伝えるだけで気持ちが楽になることがあります。
【看護師視点】仕事のことが頭から離れない——「切り替えられない」の正体
キコは精神科看護師として現場に立ちながら、この状態に陥っていた時期があると話してくれました。
キコは「帰宅してからも、頭が職場に残ったままになる」と言っていました。「あの処置、ちゃんとできていたか」「あの言い方をされたのはなぜだろう」——考えても、仕事に戻るまで答えは出ない。でも止まらない、と。
特に辛いのが、休日前の夜だとキコは言っていました。休みに入ってもモードが切り替わらず、ようやく切り替わったと思ったら夕方にはもう「明日の仕事」が頭に浮かびはじめる。休んでいるのに、休めていない感覚が続くらしいのです。
キコがその状態から少し楽になるために実践していることが2つあります。
①「今、自分の脳が仕事モードになっている」と名前をつける
感情に飲み込まれそうなとき、「あ、脳がまだ職場にいる状態だ」と一歩引いて認識するだけで、少し距離ができる。思考を止めようとするより、「そういう状態になっている」と客観的に気づくほうが楽になるとキコは言っています。
②物理的に職場から遠ざかる
キコは田舎に行く、広い景色を眺めることで、悩んでいたことが急に小さく見える瞬間があると言っています。回復の形は人によって違います。
大切なのは、「自分はどうすると切り替わるのか」を事前に知っておくこと。追い詰められてから探すのではなく、余裕があるときに自分の回復パターンを一つ持っておくだけで、ずいぶん違います。
「環境を変える」という選択肢を持つ
私が7年間かけて学んだことは、「耐えることが正解ではない」ということです。バーンアウトが深刻化する前に、環境を変えることを選択肢に入れておいてほしいと思います。心の傷は、体の傷よりもずっと治りにくいのです。
今の職場に限界を感じているなら、まず転職情報を見るだけでも気持ちが楽になることがあります。
まとめ
「何もしたくない」は怠けではなく、心身からのSOSです。まずは「頑張るのをやめること」を自分に許可してあげてください。私のように身体症状が出てから気づくのでは遅い——早めのサインに気づいて、動いてほしいと思います。
※症状が重い場合は、かかりつけ医や精神科・心療内科への相談を検討してください。
📚 参考・引用文献
- World Health Organization (WHO)「Burn-out an occupational phenomenon: International Classification of Diseases」(https://www.who.int/news/item/28-05-2019-burn-out-an-occupational-phenomenon-international-classification-of-diseases)
- 厚生労働省「過重労働による健康障害防止のためのガイドライン」(https://www.mhlw.go.jp/content/000894640.pdf)
- 独立行政法人 労働者健康安全機構(JOHAS)「勤労者こころのメール相談」(https://www.johas.go.jp/Default.aspx)
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🌱 さいごに
身体や心が出す小さなサインは、未来のあなたを守るための合図です。
「気のせい」と片付けて先送りにしてしまう前に——少しだけ、自分の側に意識を向けてあげてください。
無理を重ねないという選択も、立派なケアのひとつだと、私は思っています。
この記事が、あなたが自分を整える時間を、ほんの少しだけ取り戻すきっかけになれたら嬉しいです🐢

