こんにちは、きこです🌷 精神科で看護師をしながら、医療職の働き方について書いています。
「入って1ヶ月なのに、もう毎日がつらい、、、」
「先輩の顔を見るだけで、足がすくむ、、、」
「こんなことで弱音を吐く自分が、情けない、、、」
この記事は、こんな方へ
新しい職場に入って数ヶ月、「もう無理かもしれない」と感じている方。それが「慣れ」の問題なのか「環境」の問題なのか、自分でも分からなくなっている方。辞めるか続けるかの前に、いちど立ち止まりたい方へ。
📋 この記事でわかること
- 「もう無理」を生む2つの理由(慣れの問題/環境の問題)
- リアリティショックと五月病の違い
- 「慣れ」の問題なら、今日からできる3つの工夫
- 「環境」の問題かもしれない、3つのサイン
- 離れる前に覚えておきたい「休む」と「次の手」
- ひとりで抱えないための相談窓口
「もう無理かもしれない」。新しい職場に入って、まだ1ヶ月。もしいま、あなたがそう感じているなら、最初に伝えたいことがあります。
それは、弱さでも、看護師に向いていないからでも、ありません。
ただ、ひとつだけ知っておいてほしいことがあります。その「もう無理」には、実は2つの種類があるんです。どちらなのかを見分けると、あなたが次にとるべき道が、はっきり変わります。
私自身、新しい職場に入ったばかりの頃、毎日がつらくて、ロッカーで何度も泣いていました。だから、今しんどい人の気持ちが、すこし分かるつもりです。
1ヶ月目が、なぜこんなにきついのか
まず、入って1ヶ月目が、なぜこんなにきついのか。きっと、思い当たる場面があると思います。
ひとつめは、申し送りの時間。先輩が当たり前に使う言葉が、半分も分からない。メモを取る手が追いつかなくて、終わったあとに、どっと疲れる。
ふたつめは、先輩の視線。「見られている」と感じるだけで、できることまで、できなくなる。
みっつめは、ミスへの恐怖。自分の小さなミスが、患者さんに関わるかもしれない。その緊張感が、家に帰っても抜けないんです。
いくつも当てはまったとしても、それはあなたの能力の問題では、ありません。ただ、この「もう無理」を生んでいる理由は、人によって違います。
「もう無理」には、2つの種類がある
大きく分けて、2つです。
ひとつは、「慣れ」の問題。新しい環境に、心と身体が、まだ追いついていない状態。これは時間と工夫で、軽くなっていきます。
もうひとつは、「環境」そのものの問題。職場の人間関係や、育てる仕組みに、原因がある状態。こちらは、頑張りだけでは解決しません。
この2つは、抜け出し方が、まったく違います。だからこそ、自分のつらさがどちらなのかを知ることが、最初の一歩になります。
①「慣れ」の問題=リアリティショック
まず、「慣れ」の問題から。これには、ちゃんと名前がついています。「リアリティショック」です。
学生のときに思い描いていた看護と、現場の現実とのギャップ。そこに、心と身体がついていけなくなる状態のことです。新人看護師の多くが、最初の数ヶ月で経験すると言われています。特別なことでは、ありません。
よく「五月病かな」と言われますが、すこし違います。
📋 五月病とリアリティショックの違い
五月病……連休のあとに気持ちが沈む、一時的な状態。
リアリティショック……理想と現実のギャップ、そのものが原因。時間が経っても、自然には消えてくれないことがある。
そして、ここが大事なところです。新しい環境に、脳と身体が慣れるには、もともと時間がかかります。1ヶ月で慣れないのは、当たり前。むしろ1ヶ月で完璧にできていたら、その方が珍しいんです。
あなたの慣れるスピードが、遅いわけではありません。
「慣れ」の問題なら、今日からできる3つの工夫
もしあなたのつらさが、この「慣れ」の問題なら。「もう無理」という気持ちは、あなたが壊れたサインではなく、心が「ちょっと立ち止まって」と教えてくれているサインです。
これは、時間と、ちょっとした工夫で、軽くなっていきます。その工夫を、3つだけお伝えします。全部やらなくて大丈夫。ひとつでいいです。
💡 ①「今日だけ」で区切る
先のことを考えると、不安は無限に大きくなります。考えるのは、今日の分だけ。「とりあえず今日を終える」。それで十分、合格点です。
💡 ② 感情と事実を、分けて書く
「私はダメだ」という感情と、「あの言葉が分からなかった」という事実を、紙に2列で分けます。事実は「次に調べること」に変わり、感情は、ただ受け止めるだけで、よくなっていきます。
💡 ③ 相談できる人を、ひとり決めておく
「今ちょっとしんどい」と言える相手が、ひとりいるだけで、心に逃げ場ができます。この「ひとりの味方」がどれだけ大きいか。私はそれを、いちばんつらい時期に思い知りました。
② もうひとつの理由=「環境」の問題
ここからは、もうひとつの理由——「環境」の問題の話です。
さっきの3つの工夫をしても、どうしても抜けられないとき。それは、あなたの頑張りが足りないからではなく、環境のほうに原因があるのかもしれません。
私自身の話を、すこしさせてください。
📖 歓迎されなかった、はじまり
新しい職場に入ったばかりの、右も左も分からない頃。私の教育を担当することになった先輩は、最初から、私を歓迎してはいませんでした。
仕事を教えてくれるわけでもなく、そばに行くと、嫌な顔をされる。後ろをついていったら、「なんでついてくるんですか」と言われたこともありました。
それでも、なんとか関係を変えたくて。ある日、その先輩が体調が悪そうにしていたので、勇気を出して「大丈夫ですか」と声をかけました。返ってきたのは、「個人情報なんですけど」という、拒絶の言葉でした。
良かれと思ったことが、ぜんぶ裏目に出る。毎日、自分はこの職場にいてはいけない人間なんだ、と思っていました。
家に帰っても、涙が止まりませんでした。ロッカーで泣いて、目を腫らして、それでも次の日には、また、その職場に行く。
今ふり返って、はっきり分かります。あのとき私は、正常な判断ができなくなっていました。
何をやっても否定される場所にいると、人は、考える力そのものを、少しずつ削られていきます。「この職場を離れてもいい」——そんな当たり前の選択肢さえ、当時の私には、思い浮かびませんでした。
そんな毎日のなかで、唯一の救いが、看護師長さんでした。お昼休憩のとき、「きこさん、隣においで」と声をかけて、何でもない話をしてくれる。たったそれだけのことで、私はなんとか、その職場を続けられていました。
さっきお話しした「ひとりの味方」。それが、私にとっては、看護師長さんでした。
でも、はっきり言えます。今の私なら、あの職場を、あのまま続けることは、絶対にしません。異動を希望したり、もっと早く相談したり、冷静に動けると思います。
当時それができなかったのは、私が弱かったからではなく、おかしな環境のなかで、判断する力を奪われていたからです。
追いつめる人は、どの職場にも一定数いる
長く看護師をしてきて思うのは——残念ながら、新人を追いつめてしまう人は、どの職場にも一定数いる、ということです。
あなたの職場のその人が、特別な”ハズレ”だったわけではありません。だから、これはあなたが至らないからではなく、「たまたま、合わない場所だった」。そう考えて、いいんです。
慣れの問題か、環境の問題か——見分け方
だから、いちど立ち止まって、考えてみてほしいんです。
そのつらさは、「時間が解決してくれる、慣れの問題」なのか。それとも、「あなたを大事にしてくれない、環境の問題」なのか。
環境の問題かもしれない、と思う3つのサインをお伝えします。
⚠️ 環境の問題かもしれない、3つのサイン
- 眠れない、食欲がない、朝、足が動かない、涙が止まらない——身体にはっきり症状が出ている
- 指導の範囲を超えた、人格を否定する言葉や、ハラスメントがある
- 新人を育てる仕組みが、そもそも無い
このどれかに当てはまるなら、それは「慣れ」では解決しません。
離れることは、逃げではない
そういうとき、その場を離れることは、逃げではありません。自分を守る、まっとうな判断です。
そして、ひとりで決めないでください。当時の私のように、環境のなかでは、正しく考えられなくなっていることがあります。信頼できる人や、相談窓口に、いちど、声に出してみてください。
私は精神科で、仕事のストレスから心の病気になってしまった方を、たくさん見てきました。「自分は大丈夫」と思っていても——体調が悪い日、疲れている日、つらいことが重なった日。それがいくつも重なったとき、人は壊れてしまうことがあります。
私は、たまたま大丈夫だった。それだけなんです。だからこそ、患者さんの気持ちが、本当に分かる気がする瞬間があります。
📋 ひとりで抱えないで——相談できる窓口
「誰かに話す」だけで、絡まっていた頭が、すこしほどけることがあります。無料・匿名で使える窓口を置いておきます。
- こころの耳(厚生労働省)……働く人のメンタルヘルス相談。電話・SNS・メールの窓口があります。
- よりそいホットライン……0120-279-338(24時間・通話無料)。どんな悩みでも。
- ナースセンター(日本看護協会)……看護職の就業・職場の悩み・キャリアの相談。
- 総合労働相談コーナー(各都道府県の労働局)……ハラスメントや労働条件のトラブル相談(無料)。
- 勤務先の産業医・衛生管理者……社内に相談できる人がいれば、まずはそこから。
※眠れない・食べられないが続くときや、つらさが強いときは、早めに心療内科・精神科の受診も考えてみてください。
まず「休む」、そして「次の手」
続けるにしても、離れるにしても。どちらを選ぶ前にも、まず「休む」という選択肢があることを、覚えておいてください。
有給を使う。それは、ちゃんと用意された、あなたの権利です。
そして、看護の現場は、ひとつではありません。病棟も、外来も、クリニックも、訪問もある。「いつでも次の手がある」と知っているだけで、明日の足が、すこし軽くなります。
🌿 この記事のまとめ
- 「もう無理」には、慣れの問題と環境の問題の2種類がある
- 慣れの問題=リアリティショックは、時間と工夫で軽くなる
- 環境の問題は、頑張りだけでは解決しない。3つのサインで見分ける
- 離れることは逃げではなく、自分を守る判断。ひとりで決めない
- 続ける前にも、まず「休む」と「次の手」がある
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※この記事は、精神科看護師である筆者の個人的な体験と考えをまとめたものです。医学的な診断・治療を目的としたものではありません。心身の不調が続く場合は、医療機関や専門の相談窓口にご相談ください。文中の体験談は、特定の個人を非難する意図はありません。
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📍 あなたの次のステップ
🌱 さいごに
辞めたい人だけが、備えるわけじゃありません。
いまの職場をできるだけ長く続けたい人ほど、「いつ何が起きてもいい次の手」を、そっと準備しておくこと——。
それが、いちばん心が楽になる道だと、私は思っています。
この記事が、あなたの「もう無理」のとなりに、ほんの小さな「とりあえず、今日まで」を置くきっかけになれたら嬉しいです🌷

